発熱外来のお知らせ｜インフルエンザ流行と新型コロナの今、安心して受診していただくために

2025年冬の流行状況：インフルエンザが本格的に流行しています

国立健康危機管理研究機構の感染症発生動向調査によると、2025年第47週のインフルエンザ定点当たり報告数は全国で51.12（患者報告数196,895人）と前週の37.73から大きく増加し、47都道府県すべてで報告数が増加しています。^[1]

直近5週間では、検出されるウイルスの多くがA型（特にAH3）で占められており、小児から高齢者まで幅広い年齢層で入院例も増えています。^[1],[2]

• 2025年第47週のインフルエンザ患者報告数：約19万7千人
• 定点当たり報告数：全国平均51.12（前週より増加）
• 全都道府県で前週より報告数が増加
• 検出ウイルスはA型AH3が中心

インフルエンザは、毎年日本で1,000万人以上がかかるとされる身近な感染症ですが、とくに高齢の方や基礎疾患をお持ちの方、妊婦さん、小さなお子さんでは重症化のリスクが高くなります。^[2] 発熱や咳が続く場合は、自己判断で様子を見すぎず、早めの受診・相談が大切です。

新型コロナウイルス感染症も一定数の患者発生が続いています

厚生労働省の報道発表によると、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は2025年第31週ごろから定点当たり報告数が上昇し、一時は全国平均5.53まで増加しました。その後はやや落ち着きつつあるものの、第47週でも全国平均1.64、報告数6,302例と、引き続き一定数の患者発生が続いています。^[3]

日本では2023年5月以降、新型コロナはインフルエンザと同じく、全国の定点サーベイランスで流行状況が監視されています。インフルエンザと同じ指標（「定点当たり報告数」）が用いられており、両者の流行状況を比較しやすくなっています。^[4]

• 2025年第31週：全国の定点当たり報告数 5.53（ピーク期）^[5]
• 2025年第47週：定点当たり報告数 1.64、報告数 6,302例^[3]
• 全年齢層で報告が続いており、とくに高齢者では重症化リスクに注意が必要

当院の発熱外来で行っていること

当院では、インフルエンザや新型コロナを含む急性期の感染症に適切に対応するため、発熱外来を設置しています。発熱外来では次のような診療を行います。

• 発熱・咳・喉の痛み・鼻水・頭痛・全身倦怠感などの症状の評価
• インフルエンザや新型コロナ、その他の感染症を想定した診察・鑑別
• 迅速検査や血液検査、胸部レントゲンなど必要に応じて検査
• 重症化リスクや基礎疾患をふまえた治療方針の決定
• 自宅療養中の過ごし方・家族内での感染対策の説明
• 必要に応じた高次医療機関への紹介

感染者と非感染者の導線を完全に分けた受診動線

「病院に行くと、かえって感染が心配…」という声にお応えするため、当院では感染が疑われる方と、そうでない方の導線を完全に分離しています。

項目	当院での対応
入口・受付	発熱・咳などの症状がある方は、WEB予約で発熱外来を予約するか、事前にお電話をいただいたうえで、一般外来とは別の待合をご案内します。
待合スペース	発熱外来専用の待合スペースを設け、一般外来の患者さんと同じ空間にならないようにしています。
お会計・お薬	発熱外来の患者さんは、混雑を避けたタイミング・ルートでお会計を行い、必要に応じて院外処方箋のご利用もご案内します。

このように、「発熱・感染疑いの方のルート」と「その他の患者さんのルート」を物理的に分けることで、院内での交差感染リスクを減らすよう努めています。

発熱時の受診の流れ

当院の発熱外来をご利用いただく際の基本的な流れは次のとおりです。

• ① WEB予約で発熱外来の予約、またはお電話でご連絡ください
  発熱の有無、最高体温、いつから症状があるか、周囲の流行状況（家族や職場、学校でのインフルエンザ・新型コロナの有無）などをお伺いします。
• ② 来院時間をご案内
  発熱外来の受診時間帯を調整し、発熱外来用の待合スペースへご案内します。
• ③ 専用スペースでの診察・検査
  問診・診察のうえで、必要に応じて検査や処方を行います。
• ④ 会計・帰宅後の過ごし方の説明
  結果や治療方針のほか、自宅での注意点や再受診の目安をお伝えします。

こんな症状・状況の方は早めにご相談ください

下記のような場合は、我慢せず早めに当院へご相談ください。

項目	説明
高熱が続く	38℃以上の発熱が続く、解熱剤で一時的に下がってもすぐに再び上がる。
息苦しさ・胸の痛み	呼吸が苦しい、少し動いただけで息切れがひどい、胸の痛みを伴う。
意識状態の変化	ぼーっとして反応が悪い、会話がかみ合わないなど。
基礎疾患がある	心臓病、肺の病気、腎臓病、糖尿病などをお持ちの方や、免疫が低下している方。
妊娠中・乳幼児	妊婦さんや生後間もない赤ちゃん、小さなお子さんの発熱。

ご家庭でできるインフルエンザ・新型コロナ対策

受診と合わせて、日常生活での対策も非常に重要です。当院では、次のような対策をおすすめしています。

• 体調不良時には無理をせず早めに休む
• こまめな手洗いと、アルコールによる手指消毒
• 人混みや換気の悪い場所ではマスクの着用を検討する
• 咳やくしゃみが出るときは咳エチケットを守る
• ワクチン接種について、かかりつけ医と相談する

高齢者や基礎疾患のある方では、インフルエンザワクチンの接種が重症化予防に有用であることが報告されています。^[6] 接種のタイミングや可否については、持病やお薬の状況を踏まえてご相談ください。

最後に：不安なときは一人で抱え込まずご相談ください

「これはインフルエンザかな？」「新型コロナかもしれない…」と悩まれる方も多いと思います。発熱の原因はさまざまで、必ずしもインフルエンザや新型コロナとは限りませんが、どちらも早期診断・早期対応が重要です。

当院では、感染者と非感染者の導線をしっかり分けた発熱外来体制で、みなさまが安心して受診できる環境づくりに努めています。ご自身やご家族の体調で気になることがあれば、どうぞ遠慮なくお問い合わせください。

参考文献

1. 国立健康危機管理研究機構. インフルエンザ（2025年第47週）疫学情報. 感染症発生動向調査週報. 2025.
2. National Institute of Infectious Diseases. Influenza 2024/25 season. Infect Agents Surveillance Rep (IASR). 2025;46(11).
3. Arashiro T, Arima Y, Takahashi T, et al. Usefulness of a pluralistic approach in sentinel surveillance: seasonal influenza activity based on case counts per sentinel site in the National Epidemiological Surveillance of Infectious Diseases Program and test counts, case counts, and test positivity from the National Hospital Organization. Jpn J Infect Dis. 2024;77(5):296–300.
4. Arima Y, Takahashi T, Kasamatsu A, et al. Sentinel surveillance of COVID-19: the importance of epidemiologic concepts and reasoning. J Epidemiol. 2025;35(2):106–107.
5. 厚生労働省. 2025年11月28日 新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の発生状況について. 東京: 厚生労働省; 2025.
6. Kajikawa N, Kataoka Y, Goto R, et al. Factors associated with influenza vaccination in Japanese elderly outpatients. Infect Dis Health. 2019;24(4):212–221.