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大日てらしまクリニック
執筆・監修:院長 寺嶋 謙
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夏の塩分補給は必要?高血圧の方の減塩と熱中症対策

夏の塩分補給は必要?高血圧の方の減塩と熱中症対策

院長ブログ|高血圧と熱中症

夏の塩分補給は必要?高血圧の方の減塩と熱中症対策

食事を普段どおり取れている高血圧の方では、 夏だからという理由だけで塩分を追加する必要は原則ありません。 基本は「水分はこまめに、塩分は習慣的に上乗せしない」です。

監修:大日てらしまクリニック 院長 寺嶋 謙 更新日:2026年7月28日

この記事のポイント

  • 日常的な塩分追加は不要 3食を取れている方は、塩飴やスポーツドリンクを習慣的に加える必要は原則ありません。
  • 高血圧では減塩を継続 夏も食塩摂取量は1日6g未満を基本に考えます。
  • 大量発汗時は例外 炎天下での長時間作業や激しい運動で大量に汗をかいた場合は、水分と電解質を一時的に補います。
  • 持病がある方は個別判断 腎臓病、心不全、透析中、利尿薬内服中の方は、自己判断で水分や塩分を増減しないことが大切です。

院長としての考え方

結論:夏でも「追加の塩分補給」は原則必要ありません

夏になると診察室で、「熱中症が心配なので、塩飴を食べた方がよいですか」 「減塩を続けると塩分不足になりませんか」と相談されることがあります。

私の基本的な答えは、 食事を普段どおり取れていて、日常生活の範囲で過ごしている高血圧の方であれば、 夏だからといって塩分を追加する必要は原則ない、というものです。

大切な言い換え

「塩分を取らなくてよい」のではなく、 「食事に加えて、塩飴・塩タブレット・スポーツドリンクなどで塩分を上乗せしなくてよい」 と考えるのが正確です。

普段の食事には、調味料、パン、麺類、加工食品、総菜などを通じて、すでに一定量の食塩が含まれています。 日本高血圧学会も、3食をきちんと取れている多くの方は必要な塩分をすでに摂取しているため、 熱中症予防を目的として日常的に塩分を増やす必要はないと説明しています。高血圧の方は、 夏も食塩6g/日未満を基本にします。[1][2]

減塩していても、水分まで控えるわけではありません

「減塩」と「水分補給」は別に考えます。食事が取れている方でも、暑い日は喉の渇きを感じる前から、 水や麦茶などを少量ずつこまめに取ることが大切です。ただし、心不全、進行した腎臓病、 透析治療中などで水分制限を受けている方は、主治医から指示された範囲を優先してください。

減塩を続ける根拠

なぜ夏も高血圧の減塩を続けるのか

1

夏も食塩6g/日未満が基本

日本高血圧学会は、高血圧の方の生活習慣改善として食塩6g/日未満を基本としています。 「夏だから減塩を中断する」という一律の推奨はありません。[1][2]

2

塩分を減らすほど血圧は下がりやすい

85件の臨床試験をまとめたメタ解析では、ナトリウム摂取量と血圧にはおおむね直線的な関係があり、 減塩による血圧低下は、もともとの血圧が高い方ほど大きい傾向が示されました。[3]

3

血圧は短期間でも塩分量に反応します

50~75歳の213人を対象にしたクロスオーバー試験では、低ナトリウム食の期間は高ナトリウム食の期間より、 1週間後の収縮期血圧が平均8mmHg低く、約4人に3人で血圧低下がみられました。[4]

研究用の極端な低ナトリウム食を自己流で再現する必要はありません

研究結果は「塩分量によって血圧が変化し得る」ことを示したものです。 患者さんが目指す具体的な量は、日本高血圧学会が示す食塩6g/日未満を基本に、 年齢、腎機能、体重、服薬内容などを踏まえて判断します。

塩分補給が必要になる例外

「普段の生活」と「大量に汗をかく場面」を分けて考えます

日常生活での暑さ

食事が取れていれば、基本は水や麦茶

自宅や職場で過ごす、短時間の買い物に出るなど、通常の日常生活で衣服がびしょ濡れになるほど 汗をかいていない場合は、特別な塩分補給は原則不要です。

  • 水や麦茶をこまめに取る
  • エアコンや日よけで暑さを避ける
  • 朝食を含め、可能な範囲で3食を取る
  • 塩飴や塩タブレットを習慣化しない
炎天下での作業・激しい運動

大量発汗時は、水分と電解質を一時的に補給

長時間の屋外作業や激しい運動で大量に汗をかくと、水分だけでなくナトリウムも失われます。 この場合は、水だけを大量に飲み続けるのではなく、電解質を含む飲料などを一時的に使うことがあります。

  • 衣服が汗でびしょ濡れになる
  • 汗が滴り続ける
  • 炎天下で長時間の運動や肉体作業を行う
  • 活動前後で体重が明らかに減っている

「塩分補給が必要な日」と「毎日の食事」は分けて考えましょう

大量発汗時に一時的な補給が必要になったとしても、その日一日を通して濃い味付けにしたり、 翌日以降も塩分を増やし続けたりする必要はありません。 日本高血圧学会は一例として、スポーツドリンク500mLには食塩約0.5g、 経口補水液500mLには食塩約1.5gが含まれると説明しています。 製品によって異なるため、栄養成分表示も確認しましょう。[1]

状況別の考え方

何を飲む?塩分を足す?場面ごとの目安

状況 基本的な対応 注意点
3食を取れており、通常の日常生活を送っている 水や麦茶をこまめに飲み、減塩を継続する 塩飴、塩タブレット、スポーツドリンクの習慣的な追加は原則不要
炎天下での長時間作業や激しい運動で大量に汗をかいた 水分に加えて、電解質を含む飲料などを一時的に利用する 糖分や塩分を含むため、日常の水分として一日中飲み続けない
めまい、こむら返り、頭痛、吐き気、強いだるさがある 涼しい場所へ移動し、体を冷やす。意識がはっきりして飲める場合は水分・電解質を補う 自力で飲めない、症状が改善しない場合は速やかに医療機関へ
発熱、食欲低下、嘔吐、下痢がある 脱水の程度により、経口補水液や医療機関での治療を検討する 経口補水液は日常飲料ではない。症状が続く場合は早めに受診する
腎臓病、心不全、透析治療中、水分・塩分制限中 主治医から指示された水分量・塩分量を優先する 「夏だから多めに」と自己判断で変更しない

※必要な水分量や塩分量は、体格、運動量、発汗量、持病、服薬内容によって異なります。

夏の実践ポイント

高血圧の方が夏を安全に過ごす6つの対策

まず暑さを避ける

熱中症対策で最も大切なのは、塩分を取ることよりも高温環境を避けることです。 エアコン、扇風機、遮光カーテン、日傘、帽子などを活用しましょう。

水分を少量ずつこまめに取る

喉が渇いてから一度に大量に飲むのではなく、水や麦茶などをこまめに取ります。 一律に「毎日何リットル」と決めず、持病や主治医の指示を優先してください。

朝食を含め、食事を抜かない

食事からは栄養だけでなく、水分や一定量の電解質も取れます。 食欲が落ちやすい時期ですが、食べられる範囲で3食のリズムを保ちましょう。

WBGTと熱中症警戒アラートを確認する

暑さ指数が高い日や警戒アラートが出ている日は、日中の外出や運動を減らし、 可能であれば早朝や日没後に予定を変更します。

家庭血圧と体重を記録する

夏は血圧だけでなく、体重の変化も脱水や体液量を考える参考になります。 特に屋外活動を行う日は、活動前後の体重を比べてみましょう。[1]

体調不良時は薬を自己調整しない

発熱、下痢、嘔吐、食欲低下があると、普段と同じ薬でも脱水や血圧低下につながる場合があります。 特に利尿薬を使用している方は、あらかじめ主治医へ対応を確認しておきましょう。

アルコールは水分補給にはなりません

飲酒は尿量を増やし、脱水につながる場合があります。暑い環境で活動する前後の飲酒は控えめにし、 睡眠不足も避けましょう。[1]

スポーツドリンクと経口補水液

「熱中症対策になりそう」と毎日飲むのはおすすめしません

スポーツドリンクは、運動や大量発汗時の補給に便利な一方、塩分と糖分が含まれています。 日常的な水分として一日中飲み続けると、高血圧や糖尿病、体重管理の面で望ましくない場合があります。

経口補水液は、 一般的なスポーツドリンクよりナトリウムやカリウムが多く、脱水時の水分・電解質補給を目的とした 病者用の飲料です。消費者庁も、日常的または大量に飲むと血圧や心臓への負担が懸念されるとしており、 必要性は医師、管理栄養士、薬剤師などに相談するよう案内しています。[5]

使い分けの基本

普段の水分補給は水や麦茶。スポーツドリンクは大量発汗時に一時的に。 経口補水液は、脱水時に適応を確認して使用します。

特に注意してほしい方

腎臓病・心不全・透析中・利尿薬内服中の方へ

「熱中症予防には水分と塩分を多めに」という一般的な情報が、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。 腎臓病や心不全では、過剰な水分や塩分によって、血圧上昇、むくみ、息苦しさなどにつながる場合があります。 一方で、発熱、下痢、嘔吐、食欲低下があると脱水や腎機能悪化のリスクも高まります。

次のようなときは、自己判断で薬や水分量を変更せずご相談ください

  • 家庭血圧が普段より低く、ふらつきや立ちくらみが続く
  • 食事や水分が十分に取れない
  • 発熱、嘔吐、下痢が続いている
  • 体重が急に減った、または急に増えた
  • 尿量が減った、むくみや息苦しさが出てきた
  • 炎天下での仕事や運動を予定している

熱中症が疑われるとき

塩分を取るだけで様子を見ないでください

めまい、こむら返り、頭痛、吐き気、強いだるさなどが暑い環境の後に現れた場合は、 熱中症の可能性があります。まず涼しい場所へ移動し、衣服を緩め、首、脇の下、 太ももの付け根などを冷やします。意識がはっきりして自力で飲める場合は、 冷たい飲料で水分と電解質を補います。[6]

次の場合は、速やかな受診または救急要請が必要です

  • 呼びかけへの反応が鈍い、会話がおかしい
  • 自分で水分を飲めない
  • 嘔吐を繰り返している
  • 体を冷やして水分を補っても症状が改善しない
  • けいれん、意識消失、歩けないほどの強い脱力がある

意識が悪い方に無理に飲ませず、ためらわず119番通報を検討してください。

よくある質問

夏の塩分・水分補給についてのFAQ

高血圧ですが、夏は毎日塩飴を食べた方がよいですか?

食事を普段どおり取れており、通常の日常生活を送っている場合は、原則として必要ありません。 高血圧の方は夏も食塩6g/日未満を基本とし、水や麦茶によるこまめな水分補給を優先します。

スポーツドリンクを水代わりに飲んでもよいですか?

日常的な水分として飲み続けることはおすすめしません。塩分と糖分を含むため、 大量に汗をかいたときの一時的な補給として使い、普段は水や麦茶を中心にしましょう。

経口補水液は熱中症予防のために毎日飲んでもよいですか?

経口補水液は日常飲料ではありません。脱水時の病者用食品で、一般的なスポーツドリンクより ナトリウムやカリウムが多く含まれます。製品の表示を確認し、必要性に迷う場合は医療者へ相談してください。

夏に血圧が低くなったら、降圧薬を減らしてよいですか?

自己判断で減量や中止をしないでください。家庭血圧、ふらつきの有無、体重変化、食事・水分量、 腎機能などを確認したうえで調整します。普段より低い血圧が続く場合はご相談ください。

腎臓病や心不全があっても、水分を多めに取るべきですか?

病状によって異なります。水分や塩分を増やすことで、むくみや息苦しさにつながる場合もあります。 主治医から水分・塩分制限を指示されている方は、その指示を優先してください。

まとめ:水分はこまめに、塩分は必要な場面だけ

  • 食事を取れている高血圧の方は、夏も食塩6g/日未満を基本とし、 塩飴やスポーツドリンクを習慣的に追加する必要は原則ありません。
  • 通常の日常生活では、水や麦茶によるこまめな水分補給と、 エアコンなどを使った暑さ対策を優先します。
  • 炎天下での長時間作業や激しい運動で大量に汗をかいた場合に限り、 水分と電解質を一時的に補います。
  • 腎臓病、心不全、透析中、利尿薬内服中の方は、自己判断で水分・塩分・薬を変更しないでください。

院長からひとこと

熱中症を心配するあまり塩分を増やし過ぎることも、減塩を意識するあまり水分まで控えてしまうことも、 どちらも望ましくありません。「いつもどおり食べられているか」「どの程度汗をかいたか」 「持病や薬があるか」を分けて考えることが大切です。

大日てらしまクリニック 院長 寺嶋 謙

夏の血圧・水分管理に迷ったらご相談ください

大日てらしまクリニックでは、高血圧や腎臓病の患者さんについて、 家庭血圧、体重変化、腎機能、服薬内容、生活環境を確認しながら、 夏の水分・塩分管理を個別に検討します。

ご相談の際は、家庭血圧の記録、お薬手帳、最近の体重変化が分かるものをお持ちいただくと参考になります。

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本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。必要な水分量や塩分量、 薬の調整方法は、病状や服薬内容によって異なります。個別の診断や治療については、 医療機関でご相談ください。

本文中の参考文献

  1. 日本高血圧学会.減塩しながら酷暑を乗り切る!!熱中症を防ぐ6か条: 熱中症予防と高血圧管理の観点から.2026年6月10日. https://www.jpnsh.jp/general_salt_01.html
  2. 日本高血圧学会高血圧管理・治療ガイドライン委員会 編. 高血圧管理・治療ガイドライン2025.ライフサイエンス出版;2025. https://www.jpnsh.jp/guideline.html
  3. Filippini T, Malavolti M, Whelton PK, et al. Blood Pressure Effects of Sodium Reduction: Dose-Response Meta-Analysis of Experimental Studies. Circulation. 2021;143(16):1542-1567. doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.120.050371. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33586450/
  4. Gupta DK, Lewis CE, Varady KA, et al. Effect of Dietary Sodium on Blood Pressure: A Crossover Trial. JAMA. 2023;330(23):2258-2266. doi:10.1001/jama.2023.23651. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37950918/
  5. 消費者庁.経口補水液について. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/oral_rehydration_solution
  6. 環境省.熱中症環境保健マニュアル 総論. https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_ov_full_high.pdf

最終閲覧日:2026年7月28日

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